『ハイパー』上出Dはなぜテレ東を辞めたのか?〜上出遼平さんのなりゆき〜

みなさんはNetflixで配信されている『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(以下『ハイパー』)という番組を知っていますか?テレビ東京のど深夜で放送された後、その内容の”ヤバさ”が反響を呼びゴールデン2時間SPが放送され、テレ東系列がないと観られなかったはずが、Netflixにて日本全国…世界中で視聴が可能となった移植の番組です。

そんなテレビ東京でも人気のコンテンツにのしあがった『ハイパー』。そんな『ハイパー』を生み出し、危険地帯へ単身一人取材に向かった人物を知っているだろうか?その名は「上出遼平」。彼は『ハイパー』という次世代のテレ東看板番組を生み出しながらも、2022年6月に会社を退職している...。そこにはテレビマンとしてのプライドがあった。(※写真の左側が上出さんです)

彼はなぜこんなヤバい番組を作ったのだろうか?
そして彼はなぜテレビ東京を退職したのか?

彼のテレビマン人生を紹介しながら紐解いていこうと思う。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を見たい人
映像(サブスク)>NetflixParavi
漫画版(無料)>https://mangacross.jp/comics/hyper/1

目次

上出遼平の学生時代

中学生時代

上出さんは東京都出身で、バレンタインデーでもある2月14日に誕生した。
西東京の中学へ進学。中学時代は勉強に熱心ではなく、やや不良気味であり。バイクで走り回ったり、パンクロックバンドを組んだしたそう。

※イメージです。

早稲田大学法学部進学

不良気味だった少年は名門早稲田大学法学部へと進学を果たす。

法学部に進学したのには理由があった。自分自身が不良気味な学生生活を送っていたことから「少年非行」について研究。「困ったやつは困っているやつかもしれない」(非行少年が非行をしているには理由があるからかもしれない)という考え方を知る。このことから不良気味だった自分自身を許せるようになり非行少年たちへの見方が変わった。

テレビ局志望の動機

大学時代に、中国にあるハンセン病患者を隔離していた施設を訪れる。そこで街に降りた患者が差別を受けていた様子を目の当たりにする

「日本人はハンセン病は感染力が弱く
発症リスクも低いと知っているから恐れない。
しかしこの中国の人たちは
その事実を知らないから差別をするんだ」

上出はその隔離施設を訪れたことからそのような考えを持つようになり、伝えて知ってもらうことは人を幸せにするのだと痛感する。この経験からテレビ局への就職を考えるようになる。

就活

ハンセン病患者の隔離村を訪れた経験から伝えて知ってもらうことは人を幸せにすることを学んだ。その経験を踏まえて、なかなか多くの人から視聴されていないドキュメンタリーを引き合いに出し、面白いパッケージの中で伝えるべきことを伝えていけるようなことをやりたいと話した。そして見事テレビ東京に内定を決めた。ちなみに入社前の研修は「何の意味があるの?」とバックれ、その期間はカバン1つで世界を旅していたそう。この頃からハードボイルドすぎます。

2011年
テレビ東京入社

制作局に配属され『ありえへん世界』のADとしてテレビ局員生活をスタートさせた。『ありえへん世界』でごくたまにロケがありほとんどしゃべれないのに「中国語できます」って大口叩いて、ADながら中国ロケにくっついて行くことを繰り返した。その結果「海外系のロケ=カミデ」というイメージを植え付けることに成功した。

その後、各局で海外ロケ番組が増える時期へ突入。テレビ東京でも2012年に『世界ナゼそこに?日本人』がスタートし、上出はディレクターとして参加。取材のために自分で海外を駆け回ることができるとになった。

番組では現地で暮らす日本人に出会う前の冒頭15分くらいで、その国の面白さを見せるというブロックがあった。いちスタッフだった上出は”人様の番組ではあるけれど、「上出だから撮るよね」っていうものが欲しい”と「どうしたら誰も見たことがないものが撮れるか?」と考えシンプルに観光客はもちろん現地の人も近づかないような場所に足を運び始める。それで世界中の危険な場所や、汚い場所、怪しい場所などを巡るようになっていったそう。自分の番組を作るときに備えて、現地で出会うガイドと連絡先の交換や、Facebookを聞いていた。この繋がりが後に生きてくることになる。実際『ハイパー』では、その時に出会った信頼できる現地ガイドさんと組むことが多いとのこと。

2015年
AD上出、大橋未歩アナと結婚

当時番組のいちADだった上出さんが、まさかのテレビ東京の看板アナウンサー大橋未歩さん結婚

1989年早生まれの上出さんと1978年生まれの大橋さんは10歳の年齢差がある。しかしTHE NOTH FACE(※1)のインタビューで映された二人の姿はもうたまらなく最高です。(上出さんカッコよすぎです・・)

二人の出会いについてインタビューで次のように語っていた。

大橋さんが34歳の時に脳梗塞の診断を受け約8ヶ月の休養をすることに。しかし復帰して目にしたのは「自分がいなくても、何も変わらず回る社会があること」だった。彼女は「それまでずっと、担当したい番組が明確にあって、そのためにはどうすればいいか、とつねに逆算して生き」た。復帰後に目にしたのは常に目標を設定し必死に励んできた大橋さんにとって辛い現実だったのだ。

そんな時に同じ番組でADをしていた上出さんから「夢はもたない」という話を聞く。それはこれまで大橋さんの生き方とは真逆の生き方だった。

私は、「死」っていうものを意識して初めて、ゴールに縛られるということはもしかしたら不幸なのかもしれないと思うようになって、もっと周りを見渡しながら歩きたくなったんです

https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/climblightjacket/interview/interview9.htmlより

療養からの復帰で落ち込んでいた大橋アナを励ました。上出さんはこの「夢を持たない」理由を次のように語る。

夢や目標は、うまくいっていないときの推進力にはなるんですよ。(中略)だけど同時に呪いでもある。(中略)だからそれをぼんやりしたものにしておけば、不安感は少ないし、うまくいかなかったとしても失敗とはいえない。行き着いた先をゴールにするという考え方にシフトするのは幸福なことだと思いますね

https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/climblightjacket/interview/interview9.htmlより

「ヒトは常に希望という光が与えられている、
だが希望にという病にすがり溺れるのもヒトの常だ」

エヴァンゲリオンで冬月が語るこの言葉を思い出さずにはいられませんね。これを20代そこそこで気づいているのは人間としてできあがりすぎだなと思うし、こういう人間がテレビ局に採用されているのだなと思わされますね・・・。

兎にも角にも、大学を出てわずか3,4年のAD上出さんが大橋アナと結婚。そこには20数歳で既に自分に確固たる軸も持つ上出さんがいたのです。凄すぎ・・・。

※1_https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/climblightjacket/interview/interview9.html

『ハイパー』誕生は6年に一度の奇跡⁉︎

スラム街や紛争地域といった危険地帯に単身ディレクターが向かう企画を「編成局」(何の番組を放送するかを決めるテレビ局の頭脳的存在)は安全面の不安から許すはずもなく、上出の企画書は全く通らなかった

しかし、極たまに編成が何の番組を放送するのかを決める権利を全面番組を作っている制作局に移譲する場合がある。後に『家、ついて行ってイイですか?』や日経テレ東大学を立ち上げパンダの中の人としてひろゆきさんや成田さんたちの議論をファシリテートする高橋弘樹氏の初のヒット作『ジョージ・ポットマンの平成史』が生まれたのもこの制作局が自由に番組を決めていいというこの数年に一度の機会で生まれたものだった。

そんな滅多にない機会が久々に巡ってきたのだ。そんな貴重な枠で上出の激ヤバ企画『ハイパーハードボイルドグルメリポート』をプッシュしたのが何を隠そう『家、ついて行ってイイですか?』の高橋さんだった。

企画は「本当に大丈夫!?笑」と制作にすら心配されながらも、その企画の面白さから放送が決定した。「まぁ、通らないだろう」と思っていた上出さん自身も企画が通ったと知らせが来た時に震えたそう。こうして編成部の本当にたまにしかない気まぐれによって『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は放送されることになったのです。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』

2017年10月4日,11日の二週に渡ってついに『ハイパーハードボイルドグルメリポート』が放送!テレ東の深夜でゲリラ的に放送された番組はたちまちネットで話題を呼ぶ。さらにはその番組の質の高さから第55回ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞を受賞

めちゃ×2イケてるッ!
「ダンシングヒーローでゴイゴイスーぺシャル」
ゴッドタン
「最初でたぶん最後のゴールデンスペシャル」
NHKスペシャル
「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」

などと一緒に「第55回ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞」を受賞

ハイパー世界配信へ

半年後再び『ハイパー』放送!2018年4月10日,17日の深夜にそれぞれ

〜ロシア シベリア・カルト教団飯〜
〜足止め不法難民飯〜

という副題をつけて放送された。

さらに、4月の放送から半年を経たずして、第三弾の『ハイパー』が2018年7月17日に放送される。そして第3弾(2018年7月)を放送した後日、ついに番組がNetflixにて全世界配信!

2017年の第1弾の放送直後から、Netflix側が興味を持っているという噂が上出さんに回ってきたそうだが、第3弾(2018年7月)を放送した後についに全世界で配信がスタート!『ハイパー』のOPも各国の言語へローカライズするというテレ東ではあり得ない作り込みで配信された。配信後、『ハイパー』を知らなかった層に知れ渡ることとなりKingGnuの井口さんをはじめとした著名人が反響をみせた。

『ハイパー』ゴールデンタイムで放送!?
その名は『ウルトラ』

第3弾が放送され、Netflixにて全世界に配信されたが、上出さんが「飼い殺し状態」とのちに語るほど『ハイパー」にはその後1年間何ら音沙汰はなかった。このまま番組は闇に消えてしまう...。そんな飼い殺し状態が1年経った頃、テレビ東京の会社自体がいろいろ変わろう動き始める。そしてそのタイミングに恵まれ、まさかのゴールデン2時間SP放送決定!2019年7月15日21:00~22:48という深夜0時に放送されていた『ハイパー』がまさかのゴールデン帯で放送!番組名も『ハイパーハードボイルドグルメリポート』から『ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート』へ進化!パネラーにこれまでの小籔さんに加えれ、番組を褒めてくれたという有吉弘行さんを迎えての放送となった。

その後、半年も経たない2019年10月14日に再び『ウルトラ』が放送!22:00から90分間に渡って放送された。なお前回に引き続き有吉弘行さんもパネラーとして登場。

『ウルトラ』の放送後、なんとNHKスペシャル「日本人と天皇」や『俺の話は長い』と一緒に「第57回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞」を受賞!前回の奨励賞からさらに大きい優秀賞の受賞となった。

【極厚本】上出著作『ハイパー』発売

2020年3月19日に番組名と同名の『ハイパーハードボイルドグルメリポート』が発売!上出さん自身が書き上げた大作で、番組のVTRとVTRの間で語られなかったその危なすぎる旅の全貌が明らかに・・・

本の中で上出さんは初回に放送されたリベリアの取材について述べている。彼は滞在を延長し現地の警察でも寄り付かない少年兵たちの溜まり場である墓地へ取材することを決めた。いや、取材しなければならないと思ったそうなのだ。本書の中で上出さんは以下のようにこう綴っている。

自分だけ安全圏にいて、そこから覗き見るというテレビ制作者の構図から僕は抜け出したかった。可能な限りその呪いから距離を取りたかった。
(中略)それはマスゴミと揶揄される組織の禄(ろく)を食(は)むテレビマンの、わずかに残された矜持だった。

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』より引用

そして彼はリベリアにいる元少年兵たちの中でも相当に”ヤバい”彼らに直接向き合い、結果元少年兵であり売春によって1日のご飯を賄っている少女の飯を囲むことに成功した。

ちなみに本書はQRコードから限定公開されている「地上の楽園 モルディブ・ゴミ島飯」が視聴可能という購入特典が存在!現在(2022年9月時点)で視聴可能なので気になる人はぜひ本書を手に取ってもらいたい。

番組初のオンラインイベント開催

2020年4月には2020年1作目となる『ハイパーハードボイルドグルメリポート』が放送され、『テレ東無観客フェス2020』にて番組初のオンラインイベントを開催!半グレ集団の創設者を招き鍋を囲みながら創設に至った中国残留孤児の実情が語られた。

さらに『テレ東ほぼほぼ無観客フェス』で番組2度目のオンラインイベント開催!自身がアルコール依存を抱えるまんきつ(漫画家)さんと覚せい剤と大麻の所持で逮捕された執行猶予期間が開けたばかりの高知東生(俳優)を招き鍋を囲んだ。

コロナ→『ハイパー ハードボイルドグルメリポート no vision』開始

2020年12月30日、今までで一番深い時間25:35 - 26:20に『ハイパーハードボイルドグルメリポート』が放送されるも、結果的にはこれが地上波放送としての『ハイパー』の_”最終回”となってしまう。

コロナで番組の軸であった海外渡航(取材)ができなくなった。そんな時にテレビ東京が放送以外の新たな新規事業の立ち上げが要請される。それを受け社内にという”テレビ番組以外のコンテンツでお金を稼ぐこと”を目的にした「クリエイティブビジネスチーム」が新設!上出さんもここへ所属することとなった。

テレビ番組以外のコンテンツで上出さんは近年アメリカでの音声プラットフォーム市場の急成長に注目!そして常々カメラなしで取材できたらなと思っていたことも合わさり”『ハイパー』から映像を捨てることを提案"。音声コンテンツは参入ハードルも低いため大量に番組が存在するものの、「音声コンテンツは声優を起用したラジオドラマとラジオ番組のようなまったりトークに二極化しているのでは?」「リアル志向でながら聞きできないようなちゃんと作り込んだ音声コンテンツに突破口を見出せるのでは?」ということ考えに行きつく。こうして生まれたのが『ハイパーハードボイルドグルメリポートno vison』(以下『no vison』)だった。


テレ東のPodCastブランド「ネウトラ」立ち上げ、その第1弾コンテンツとして『no vison』がSpotify独占配信コンテンツとして配信が始まった。

しかしこの初回配信に至るまで凄まじい事件があったことを
聴取者の我々はこの時点で何も知らなかった。

これが後に上出さんがテレビ東京を退社する要因となる。

上出、会社員として悩む
『家、ついて行ってイイですか?』コラボ

2021年2月28日、

『家、ついて行ってイイですか?特別編..ステージで命を燃やし尽くした男の記録~』

が放送。伝説のバンドのボーカル・イノマーさんの葬儀の日にパートナー女性と出会った番組スタッフの取材VTRと、亡くなる瞬間までイノマーさんを撮り続けていた「ハイパーハードボイルドグルメリポート」上出プロデューサーの映像がイノマーさんの一周忌をうけ合体。スタジオゲストの香取慎吾さんが収録後、「人生観を変えてしまうVTRだった」と語り、放送時はSNSで拡散されると、Twitterでは国内はもとより、世界でもトレンド1位になるなど話題となりました

上出さんは番組について以下のようにコメントを寄せている。

イノマーの病室は、会社員としての正しい振る舞いができず
鬱々としていた僕にとって大切な居場所でした。

イノマーが僕を受け入れ、そばにいることを許し、
時に必要としてくれる瞬間が、僕にとっての救いでした。

番組を見てくださった方々もきっと僕と同じように、
どこか救われた気持ちになったんじゃないかと思います。

この世の中は、ただ生きているだけでしんどいんだけど、
だけど生きてても良いくらいには素晴らしい。そんな気がしています。

https://natalie.mu/owarai/news/418151

番組はギャラクシー賞月間賞を受賞しました。これで上出は三度自分の番組がギャラクシー賞に受賞したことになりました。

ささやかな反乱

2021年3月5日、上出さんは講談社で歴史にある『群像』にとある文章を寄稿する。

「僕たちテレビは自ら死んでいくのか」

その内容はテレビ東京の1社員である上出さんが1ジャーナリスト(テレビマン)としてテレビ東京社長へ強い非難を表す文章となっていた。本書の中では以下の趣旨の内容が語られる。(より詳細を知りたい方は下の記事まで)


初回の取材
コンプラに配慮しつつも暴走族
会社から横槍が入る
しかし、テレ東査察部からコンプラ上問題なしと判断され
一見落着のように見えた。

しかし配信直前、テレ東社長からストップの声が
その後再び査察部に行くと「ここでは判断できない」と言われ、
法務部へ行くと報道局に話を聞くべきと言われ、
報道局の人間と話し合いがもたれるも
「音声をまだ聴いていない。
全部聞いたら判断しなきゃならなくなる。」と話される。
絵に描いたようなたらい回しに合う。

最終的には幹部と社長との話し合いが持たれ、
正式にお蔵入りが決定した。
テレビ局がヤバいと危機感を感じ
立ち上げたはずの音声コンテンツ第一弾が
まさかのお蔵入りとなったのだ
これに対し以下のように記した。

それ(暴力団)はたまたま存在したのではなく、
存在すべくして存在したと考えるべきだ。
メディアが暴力団の存在を無き者として排除したところでそれは無くならない。
報道機関は臭いものに蓋をする存在ではなく、
皆が蓋を臭いものを露わにして歩くべきだ。

(中略)
「私たちは決して悪に与しない

という一見もっともらしい宣言は思考停止のスローガンだ。

___________上出遼平「僕たちテレビは死んでいくのか」(群像2021年4月号)

そしてそこから責任を取れないと言った社長の件かテレビ業界のジリ貧を訴える。

僕は思う。
我々の武器はもはやキャスティング力でも
番組制作技術でもアイディア力でもない。
何処の馬の骨とも知れぬ後発の映像製作者達にもう負けている。
既得権益に浴した結果だ。諦めよう。


しかし我々にはたった一つだけ未だ有効な武器が残されている。
それは新興の勢力では持ち得ない、
開局以来半世紀以上かけて育んできた社会存在としての矜持だ

国民が遍(あまね)く無料で受信できる電波を借りて、
文化を作り、

より豊かな社会を実現するために力を尽くすという態度。
ぼんやりして聞こえるかもしれないけど、
そのぼんやりしたものことが今まさに重要だ。

今回の件で僕は改めて確認した。
僕の所属する組織は
いつも耳心地のいい安心材料に心を奪われる。
説明可能な、数値化可能で合理的な、そういった諸々。
今般のパンデミックでさえ全くもって想定外だったにも関わらず、
目の前の安心材料を疑う姿勢は依然備わらない。

___________上出遼平「僕たちテレビは死んでいくのか」(群像2021年4月号)

そして最後、力強く締めた。

外へ出よう。
右の手には矜持の刀、左の手に倫理の盾を。
毅然と立ち向かうべきご都合主義の「悪」ではない。
超えていくべきは我々を誘惑する目先の利益と、
大いなる不安なのである。


___________上出遼平「僕たちテレビは死んでいくのか」(群像2021年4月号)

早朝番組『蓋』
優しい番組『空気階段の料理天国』

『蓋』

2021年9月朝4時台に『蓋』放送!

蓋・・・汚いものを見ないように塞ぐもの。
漫画家の福地翼さんは『蓋』の放送を見て「テレビ局に監禁された誰かからのSOS」と表現しました。これはたまたまそう思っただけなのか、それとも上出さんの状況をわかっていて確信犯的にツイートしたのか・・・

『空気階段の料理天国』

上出さん、テレビ東京での最後の番組は奇しくも上出さんの代表作『ハイパー』と同じく「料理番組」となった。しかしその内容は何か起きそうで何も起きない。異様など真っ白なスタジオと変な間が詰まった「優しい料理番組」となった。メタ要素の強い、今のテレビ業界に警鐘を鳴らす、またしても一筋縄ではいかない番組となりました。

テレビ東京退社

2022年6月、上出遼平さんはテレビ東京を退社しました。

その後の上出

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』漫画化

テレ東社長を批判する文章を寄稿した『群像』にてまさかの小説家デビュー。

ハイパーハードボイルドグルメリポートの終了と
時期を合わせたかのように再開した『クレイジージャーニー』。
上出さんが出演するみたいな未来が現れるのでしょうか?
フリーとなり、もう何も失うものがない上出さんの今後に刮目せよ!

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